恋人に言われて嬉しかった話
昨日のデートの帰り際、恋人と夫婦観の話になった。 僕は自分の両親に対して、夫婦としてのあこがれを持っている。 彼らは結婚から30年近くたった今でも、手を取り合って散歩をし、決して甘い空気を漂わせるわけでなく、ただお互いの信頼関係の強固さを垣間見させている。 親子としては少しギクシャクした関係になってしまっているが、夫婦としての彼らには憧れを越えてもはや尊敬の域に入っている。
ただ、そうなるのはかなり難しいと思う。 多くの夫婦がそんないい関係を目指しては散っていったのも知っている。 喧嘩・環境の変化・親戚との関係・子どもとの関係……。 冷たくなった夫婦の関係なんて、かなり身近に発生し得るし、多くの人がそうなってしまって悩んでいる。 だから、この夫婦に対する憧れを言って受け入れてもらうことは、ハードルが高いと思っていた。
思っていたのに、彼女はあっさりと「わたしはそういう関係になりたいって思ってるんだから、あとは先輩次第なんじゃないんですか」と言い切ってしまった。 「あ、そっか。この人は僕と家族になることを自然とそう思ってるんだ」と理解した時、得も言われぬ感情が溢れて、すごい嬉しくて仕方なかった。 この人は、僕の家族になりたいと思ってくれている。 この理想に共感を示して、そうなるために生きていきたいと言ってくれている。 ニヤケ顔が止まらなかった。
多少どもりながら、そんな気持ちを伝えたら、「付き合ってるってことは当然その先に結婚があるって思ってるんですけど」と言われてしまった。 もちろん僕だって、この関係の先に結婚を経て、人生を一緒に過ごせたら嬉しいとは思ってる。 でも、そうなりたいと思ったカップルがだめになってしまったのを何回か見ているし、そうなりたいと思ったのに結局途中で別れてしまった経験もある。 僕が不安に思っていることを、これから少しずつ埋めていこうと思っていた落とし穴を、彼女は軽々と飛び越えて僕の内面に踏み込んできてくれた。 おまけに、「先輩はわたしと結婚したいって思ってるんですか?」なんて言われてしまった。 結婚したいに決まってる。
こんな会話ができることが、堪らなく嬉しかった。